若い女性の晴れの日 着る人の品を引き出せる様な着物作りが私の目標です。
三十年前 高校を卒業したばかりのお嬢さんの振袖を染め 女子大の卒業式で(娘の振袖が一番だった)と喜んで下さった友人が 同じ着物を纏った孫娘さんの写真を下さり
(ええでしょう!今でも新鮮で お母さんのお下がりと言うと皆が驚いて褒めて下さるよ!)と言われ 私もハッピーになりました。
今年は特別に嬉しい事がありました。
四十四年前 染めの学校を卒業して帰郷、古く広い家を大改造で 両親に染の作業場を作ってもらいました。
大工仕事が終わるのを待っていたように 親しい奥さんが見え(私に似合うようにお任せします。)と白生地を置いてゆかれました。
学校を出たばかりの私に 全幅の信頼を寄せて下さった事を 今思い返しても不思議に感じます。
染め上げて届けましたら気に入って下さり娘さんの縁談が決まるとすぐ 依頼に見えました。
跡取りさんの奥さん 孫娘さん 必要になると相談に来て下さり ご一家との長いお付き合いが続いて居ります。
今年は遂に最初に注文を下さった方から女系四代、ひ孫にあたるお嬢さんの振袖の相談を受け 気合を入れて取組ました。
雛人形の様な可憐な娘さんに相応しい会心の晴れ着が仕上がりました。