植物が息をひそめている冬は草木染の楽しみが少ない。
年中、緑の葉をつけている茶の小枝を切って鉄媒染で染めてみた。盛夏の茶葉からはシックな緑が現れるが、冬の葉からは”グレー”青味、紫味も感じられる味のあるグレーだ。
メキシコ原産のコチニール(サボテンにつく貝殻虫)で三十織のスカーフを染めた。明るい牡丹色で可愛い。
四月が待たれる。山菜が芽吹く。
大量の山椒で佃煮を作るが、その前にせっせと絞りの布を用意する。山椒の実のピリピリを和らげる為たっぷりの水を注ぎ加熱、沸騰したらゆで汁を捨てる。
その捨て汁で絹を染める。深味の緑になる。
芽吹いて一週間のこし油は天ぷら、二週間の若葉はゴマ和え、三週間経つと食用は無理、染めて若草色を戴く。
山里に住む身を幸と感じる季節である。