約40年前、お洒落をして岡山に出かけた。
帽子は作ったばかりの白いパラバンタルのキャプリーン。

駅から北へ少し歩いた所で帽子に何か落ちて来た。鳩の落とし物!

拭いても拭いてもパナマの編目に入り込んだものが除ききれず、しみになってしまった。

口惜しいので帽子全体に小さな花を描き込んでしみの場所も私自身もわからなく可愛い帽子になった。

見知らぬ人から「その帽子は…」とたずねられ、私作とわかるとリクエストが多く「染の個展」に少しだけ出しますので、早く来てね」と個展の宣伝に役立ち、帽子目当てのお客さんは現在もいらっしゃいます。

年令と共に晴の集まりには着物で通すようになり、派手な帽子を被る機会が減り、東京の帽子材料店への足が遠のいた。

この10年は手許に残っている5個の帽子が汚れたり、古めいて来ると飾りリボンを取り替え模様を書き足してごまかしてきたがいよいよ限界

 

長くごぶさたしていた帽子材料店に電話をした。
即希望の夏帽子材料が送られてきた。

埃をかぶっていた帽子の木型を念入りに洗い型入れから始めた。時間を忘れて没、2日で3個仕上げた。

 

新しい帽子の絵は控え目に、色があせたり、汚れる度に小花や蝶が増えてゆくでしょう。