正月返上で挑んだ絞りの着物が染上りました。
時間の余裕はあるつもりでしたが、意外と手間が要りぎりぎり。
縫い絞った十三米の布を稲わらの縄に巻きつけ一部を竜巻絞りにして先ず五倍子(ふし)で染めました。
多量の染液が必要で一日かけて煮出して濾す作業をくり返し、二kgの乾燥した五倍子を使いました。
この五倍子は親しい方が山で採って届けて下さったものですが、かつては秋の村人の副収入として皆、競うように採り、干して仲買人の家に持ち込んだものです。
江戸時代はお歯黒の原料、明治~昭和はインクの材料でしたが、今は忘れられた存在です。
一番液は黒、八番液は渋めのサモンピンクが出ますが染める布や諸条件により定石通りの色にならないので四苦八苦です。
今回は二番液から五番液を用い、渋い緑が出ました。
縄に巻いた竜巻絞りの糸を解き、コチニール液で重ね染、エンヂとも紫とも言えぬ絞りの効果の陰影ある不思議な色が現れました。
これを蒸し返して、水洗い、仮仕立。
やっと図録用撮影に間に合いました。
落ち着いた色調が好みの北欧の皆さんの反応が楽しみです。