染の作業は天候に左右される。梅雨時は糊を工程はNG
冬の暖房も程々にひかえ、厚着とカイロでしのぐ。
明日から数日雨が続くとの予報で薄色の着物の模様色差しを急ぎ、やっと了えたのが午後2時、それから蒸す準備(布を蒸すことで染めた色が布に定着して洗っても色あせなくなる)
木枠に染めた布を掛け、布と布が触れないように間に洋半紙をはさみ、の作業で1時間、庭にブリキのくどを置き大きな鉄釜をセット。水を入れて釜の上に犬小屋のような木製の特性蒸し器をセット
水を入れて釜の上に犬小屋のような木製の特製蒸し器を乗せ、中に布をセットした木枠を入れて、松の木に点火。
その日は上手く着火せずモクモクと煙が派手に出た。丁度風向が東から西へ。裏山の茂みの中に上って行った。
急に山の中から烏の声が沸き起こり、次第に大きくけたたましくなった。
巣立ち前の子烏が沢山いるようだ。
ギャーギャーと異様に激しい鳴き声の合唱と同時に二羽の若くたくましい烏が私めがけてビューっと飛んできた。
「うるさい!」とっさに発した私の声はかなり大きくドスが利いたようだ。
一羽は山へUターン、一羽ははなれた高木の枝に、残る一羽ははるかかなたの高圧鉄塔からこちらを見ている。
やがて蒸しの火は勢い良く燃え、煙は出なくなり、裏山は静かになった。
烏の集団にも指令するボスがいて、攻撃役がいて、烏語もあるのだ。と気づいたのだが、以後、私が夕方庭に出ると裏山の烏がガァーガァーと騒ぎ始める
「おそろしいのが出て来たよ。気をつけろ」とでも言っているのかナ?