我家と畑の西側急斜面の上は雑木林だった。
いつの間にか山頂を越えて竹が侵入。5mの段差もおかまいなく、畑や道に筍が生えだして20年になる。
筍の季節になるとゴム長靴の底で気配をさぐり、まだ地上に現れないのを掘り出し、自然の恵みを頂く。雑木林も半分竹林状態なのでふかふかの落葉の下に育つ柔らかいものを掘り、友人にも配る。
七年前の春、庭から畑への道を上ってすぐの場所に狸の排泄物の山、一匹二匹の量ではない。通称「狸のタメクソ」という縄張り主張の習性。消毒の為石灰をいっぱいかけて白い山にしておき、スカーフに安い香水をたっぷりつけて畑と裏山で振り回し、私の縄張りを主張しておいた。
翌朝、家の周囲が異様に臭い。
強烈な狸の尿臭が家の周囲のみならず、畑や山の斜面を覆っている。
丁度筍のシーズンが始まり、私は日に三度、筍のチェックと共に香水スカーフを振り回しておいた。
その五日後かなりの雨が降り、悪臭は薄らいだ。雨の二日後、斜面のあちこち、作業場の裏、日影の場所、全て、白いゆうれい茸が群生している。
この茸は尿素+湿気で日陰に生えるもの。
いったいどれだけの数の狸が集まったのだろうか
狸の意思伝達方法は?
狸会議を開いたのか?それともボス狸の決断か?
あの夜、雨戸を閉めてからは一歩も外に出なかったから、月夜だったかも判らないけど
縄張り確保の為、近くの山々から集まった狸の群れが我家の周囲にマーキングの様子を観察したかったなぁ
それでも「お狸さん、ここは私の場所」と香水スカーフを振り回し続けた結果、狸はあきらめたようだ。
筍の季節が近づくと思い出し笑ってしまう事件でした。